↓ネタばれ感想↓
父親は思想犯の疑いで捕らえられ、
外国育ちの母親と優しい兄は、静かに、けれども強く戦争に反対していた。
国に教育された弟は「立派に」育ち、そんな家族を批判、兵隊学校を志願する。
ところが、兵隊になる前に終戦で生き残ったのは弟で、
終戦直前に兵隊になって死亡したのは、兄の方だった。
一人だけ家族を離れて疎開した、末の妹の視点で話が書かれているので、
他の家族の出番はほとんどありません。それなのに、終戦後暫くたってから、
兄が兵隊になった事と、戦死したことを一度に知らされた時… ショックでした。
もう、ものすごく悲しかったです。
しかも、「あんなに反対していたのに…」とかいったことも書かれず、
兄が戦死して、弟はどう変わったか、とかも書かれず、
ただ、兄、戦死、という書かれ方しかしていないんです。
…時間はかかるにせよ、弟もいつか、冒頭で私が書いたようなことを考えるようになると思うのですが…。
弟の懺悔が見たかった…
今まで読んだ戦争の話で、登場人物の戦死がこれほど悲しかったのは初めてかもしれません。
……哲兄さーん……(涙)
小人の話より、哲兄さんが悲しくて仕方がなかった。