第01話 「鎮魂歌」
太古より、人と魔族の戦いは、その姿と形を変えつつ
幾度となく繰り返されてきた。
だが後に、第二次スフォルツェンド大戦と呼ばれる
聖戦の幕を、あの美しくも哀しい一曲の
バイオリン演奏が開くとは、誰が想像したであろう。
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第02話 「運命のくるみ割り人形」
旅人はその遠き道の果てに眠り、
優しき隣人はこうべを垂れて少女への忠誠を誓う。
遠くまだ見ぬ少女の祖国は、大いなる魔の力によって、
その安息の日々を終えようとしていた。
そして、ハーメル、おまえは…。
(ハーメル)「村が…」
(フルート)「村が・・・燃えてる」
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第03話 「白鳥の湖」
歌うたいのバーディ。力自慢のザンパーノ。
踊りの名手ダンス。太鼓のブリキ。
腹話術士のホロと人形のスコープ。
そして、一座最後の登場は…。
さあご喝采、ピアノ弾き、花のライエル。
(フルート)「あれは… 魔曲」
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第04話 「アンセムの追憶」
友との再会は、ただいまわしき記憶との出会いなのか。
遠い日の、あの光輝く日々をさがして、
少年たちは今またふるさとに立つ。
その大地がいかに荒れ果て、
魔の棲む地獄となっていようとも。
(サイザー)「弱い犬ほどよく吠える」
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第05話 「ダルセーニョ炎上」
「我こそは、ダルセーニョが第56代目国王
シュリンクスが一子、トロン・ボーン」
その名乗りを、志高き父に捧げよ。
そして・・・、慈悲深き母に。
ああ… いまだ、幼き子よ。
(ハーメル)「なぜだ… なぜこんなに息が苦しい。
頭が… 熱くなる・・・」
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第06話 「五つの希望の名の下に」
友への疑惑は己をさいなみ、
己への嫌悪は友への信頼を空しゅうする。
少年は己の中の悪魔のために、
少女は己の中の愛のために、それぞれの運命を歩み出す。
もう、決して、交わることのないかもしれぬ道を。
(トロン)「ほっといてくれよ… にせもののお姫様なんかに」
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第07話 「後継者・ハーメル」
魔界軍王サイザー。
翼を持つ者たち、妖鳳軍の長(おさ)。
人にあらず、魔にあらず、赤き血の翼を持つ堕天使。
その頬を流れるものは雨か、血か。
… いや、おそらくは一筋の涙。
(パーカス)「大魔王の血と肉を受け継ぐ者」
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第08話 「パンドラの箱」
ふるさとは、帰り来た旅人を苛酷にもてなし、
旅人はふるさとを嫌悪する。
しかし、傷ついた少女の悔恨は
いともたやすく締観へと変わり、
二つの道はようやくその姿を少年の前に現す。
少年は、何かを思い出したかに見えた。
(ギータ)「お迎えにまいりました。
魔界のプリンス、ハーメル様」
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第09話 「勃発! 第二次スフォルツェンド大戦」
少年は友のもとを去り、少女はひとり壁を背に立ちつくす。
そして、娘への苛酷な仕打ちを、
まるで自分へのそれであるかのように、母は遠くを見た。
後に、第二次スフォルツェンド大戦と
呼ばれた戦いは、こうして始まる。
(クラーリィ)「すべての力あるものは、我に従え!」
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第10話 「<<人>>と<<魔>>の狭間に・・・」
友よ。
人は、ただ一度の微笑みをうるために、その命を賭けるか。
・・・知らず。
ならば問う。人は、ただ運命に操られた人形か。
・・・否、否。断じて否。
ああ・・・ハーメル。
(ハーメル)「これだ… これなんだ、俺の待っていたのは」
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第11話 「真実の鏡」
心より願え、真実の時を得んと。
心より誓え、いかなる真実であろうと
決して目を背けることはないと。
遥かなる歳月の後、全てはよみがえり、
少女は今、真実の母を見るか。
(クラーリィ)「ホ、ホルン様… まさかあなたは・・・」
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第12話 「旅の終わりに」
魔界軍王・ドラム。
幻竜軍の長(おさ)にして、魔界最強の破壊の王。
しかし、二つの首を持つそのまがまがしき姿さえ、
ひとときの仮の姿。
その両腕に生えたドラゴンさえ、ひとときの戯れ。
ああ、幻竜王ドラムよ、永遠なれ。
(フルート)「ハーメル・・・来て」
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第13話 「戦いの傷痕」
少年の二つの道は終わり、少年は己の姿を見た。
そして、少女の母への旅も。
しかし、友は、母は、魔は… そして、ハーメルは。
ああ… 何も、終わることはない。
(ライエル)「これで… これで僕の旅も終わる」
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第14話 「新たなる旅立ち!」
16年の昔交わされた、慈悲深き女王ホルンと、
一人の幸薄き女との密約。
それは、世界の運命をも変えたかもしれぬ。
それは、交じることはなかったのか。
ただひとつ明らかなるは、互いに子を思う母。
(サイザー)「復讐・・・ 忘れるな、その美しい響きを」
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第15話 「別れの港・センザ」
そこに人々は集い、別れを惜しみ、
つかの間の時を過ごす。
いにしえの東の詩家の歌に曰く、
孤帆の遠影碧空に尽く、と。
その町はこう呼ばれた、別れの町・センザ。
(フルート)「ハーメル!来てよ!… 私の手を離さないで!!」
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第16話 「滅亡国家・スラー」
10年の昔、ひとりの堕天使によって滅ぼされた
最強の軍事機械国家・スラー。
もはや、この世にはないはずのその国へ、
人々は何者かに導かれ、風に追われるかのように、急いだ。
いや、何者かを断ち切るためにか。
(シターン)「余はあのとき誓ったのだ。必ず帰ってくるとな」
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第17話 「魔族として」
深き海の底より浮上した、要塞塔スラー。
10年の昔からよみがえった復讐の亡霊たちよ
剣を忘れ、己の体を機械となし、
おまえたちが目指すものは。
少女は自らを忘れ、
少年は再び自らを思い出そうとしていた。
(フルート)「化け… 物・・・」
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第18話 「ラスト・ショー」
ヘリウッド一座の歌姫・バーディ。
その歌声は、兵士たちをふるさとへと帰し、
天なる神さえもひとときの安らぎを得ん。
そしてここに、その歌声に心乱れ、
あるいはその歌声に母を見る哀しき娘がいる。
(コキュウ)「今こそ念願の、ラスト・ショーの開演です」
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第19話 「心 乱れて・・・」
母は歌う、遠い我が子のために。
歌は、歌い継がれ聞き継がれた。
そう、その運命の時のために。そう、最後の時のために。
今はいない子供たちのための子守歌。
(ベース)「新たな舞台は整った」
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第20話 「復讐の幕開け」
コキュウ・刃の戦士。ガイタ・炎の怒り。
ゴーン・ほとばしるいかづちの体。
リラ・秘められたしなやかな鞭。ショウ・黒き鋼の球体。
その最期の時、彼らは父を愛した。
… さらば、悲しき狂王の子供たちよ。
(フルート)「もう一度やりなおそうって言ったじゃない。 … もう一度」
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第21話 「ツィゴイネルワイゼン」
ここに、いくつかの家族がいる。
五人の兄弟は、母を、父を慕い、散っていった。
妹は兄と母を憎んで涙を忘れ、
兄は戦いのただ中にそのことを知る。
そして、もう一つの哀しい家族が再会する。
(ハーメル)「おまえは、俺の忘れた過去を知っているのか!」
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第22話 「最後の「皇帝」」
かつて、スラーと呼ばれたその浮遊大陸は、
その使命を果たすことなく最期の時を迎えた。
殺戮と絶望は荒れ果てた大地に満ち、魔曲「皇帝」は響く。
実りなき最後の復讐のために。
(フルート)「覚えてる、スタカット村で、これと同じことが」
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第23話 「たち切れぬ絆」
子は、父を愛した。
父は再び、遠い昔に流した涙を思い出す。
子は初めて父にいだかれ、父はその両足で大地に立つ。
そして母は、娘の前についにその姿を現す。
(サイザー)「天使の私に与えられたのは、殺戮の道だけ!」
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第24話 「開かれた箱」
娘は、一人の若者と出会い、
そして命の続く限り愛し続けることを誓った。
若者は、娘の愛を信じた。
娘の名は、パンドラ。
そして、その若者の名を、ケストラーという。
(パンドラ)「あの日・・・あの日射しの強い夏の日」
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最終話 「終わりなき ひとつの道」
長き、旅の終わり。
パンドラ。ギータ。ドラム。サイザー。ベース。
トロン。コルネット。レシク。パーカス。クラーリィ。
オカリナ。オーボウ。ホルン。リュート。ライエル。フルート。
・・・ハーメル。
(フルート)「私、世界を救える たったひとりの女の子なんだって」
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