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いろんな感想



◇おちゃめなふたご ◇レ・ミゼラブル ◇小鹿物語
◆砂の妖精 ◆クオレ ◆ハリポタ
◇エヴァが目ざめるとき ◇ブループリント ◇木かげの家の小人たち


01
おちゃめなふたご ・・・ エニド=ブライトン 1941〜1945
"The Twins at St Clare's" 〜Enid Blyton
双子の姉妹、パットとイザベルの転校先は「クレア学園」。 個性豊かな同級生や先生達に囲まれた素敵な寮生活、 学校生活の中で二人は大きく成長していく。
(ポプラ社文庫 全6巻)
  小学生からの愛読書。私が寮に憧れた原点。 寮でのハラハラドキドキ素敵な生活は、読んでて、もう!! 私も高校3年間、実際に寮に入りましたよ!  大好きイベントは勿論、「真夜中の誕生日会」。(うちの寮にはありませんでしたが。) 一番のお気に入りは最終巻です。
アニメは、絵がイメージと違ったので見てません…
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02
レ・ミゼラブル ・・・ ヴィクトル=ユーゴー 1861
"Les Miserables" 〜Victor Hugo
フランス古典名作。 ああ無情。

各巻のあらすじと登場人物説明を読んだだけで、もうわっくわく! こんなにそそられる話だったとは! 是非、本屋で手にとってあらすじを読んでみてください。
(偕成社文庫 上・中・下)


  おおまかなあらすじを知っているのに、ハラハラドキドキ。 この本の訳はとても読みやすくて、次にどうなっていくんだろう、と ページをめくる手を止められませんでした。 上、中はほんとに面白かったです。
下は…なんかいきなし政治思想絡みになっちゃって…  最後ジャンが… あれを大団円というには…う…ん…  な、終わり方でした。ちょっとがっかり。(期待しすぎ。

あらすじ紹介と登場人物説明だけでも燃えるので、 全部書き写したいくらいなんですが、とりあえずはこれだけ。
   下巻:ジャベール…
   徒刑囚ジャンを執拗に追う刑事。
   ジャンの崇高な魂に気付き、苦悩する。

この一文で、もんのすごく期待したんですが… 苦悩期間が短かい上に、掘り下げがぬるかった…(期待しすぎ。

幼いコゼットの有名な絵。 実際に本文中の挿絵で見ると、凄まじいものがありました。

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03
小鹿物語 ・・・ マージョリー=ローリングス 1938
"The Yearling" 〜Marjorie Kinnan Rawlings
アメリカ古典名作。

  森に住む貧しい開拓民一家。
ある日、父親ペニーが猛毒のがらがら蛇に咬まれてしまった。 このままでは確実に死んでしまう、とその時、目の前に一匹の雌鹿が現れた。 ペニーはとっさに鹿を撃ち、その肝臓で毒を吸い出してなんとか死を免れるが、 その雌鹿には一匹の小鹿がいた。
  ……という理由から、息子のジョディーはその小鹿、フラッグを飼い始める。 ところが、一年後。 育ったフラッグは穀物を食い荒らし始め、小鹿は森で暮らす一家にとって脅威へと変わる。 ジョディーはフラッグの立場を守ろうと、閉じ込めたり、畑の周りに柵を作ったりするが、 成長した小鹿に対し、それらは何の枷にもならなかった。 そしてついに、両親はジョディーに銃を手渡す……
(偕成社文庫 上・中・下)


子供の頃読んでも、今読んでも、この設定は凄いです…

  この作品には深〜い思い入れがあります。 1983年にNHKでアニメ化されたんですが、それは観た事なくて、 同じアニメ絵の児童書として再構成された本を 小さい時に買ってもらって、愛読していました。 全6巻。ぼっろぼろだけど未だに持ってます。 幼な心に、最終巻が衝撃で…… (エミリー… フォダウィング…! フラッグ…) ラストらへんでそれまでとは一変した雰囲気が、なんともいえず…
ジョディー… くじけないで、頑張って生きて…

  『小鹿物語』は1938年に出版されて、ピューリッツア文学賞を受賞しました。 こんなに淡々と書かれた児童文学。 けれども確かにピューリッツア賞をもらうだけの内容なのです。 人間が生きていくとはどういうことなのか。 森で暮らす、小さな一家の生活。 そのほんの一部分を抜き取ったこのストーリー全体が、それを教えてくれます。
(メインの小鹿の登場は、実は中盤から。)

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04
砂の妖精 ・・・ イーデス=ネズビット 1902
"Five Children and It" 〜Edith Nesbit
イギリス古典名作。
NHKアニメ『おねがい!サミアどん』の原作。

4人きょうだいが砂場で見つけた、奇怪な妖精。 原始の昔から生きている砂の妖精サミアッドは、 人間の願い事を1日に1つだけ、日没まで叶えてくれる。 嬉々とした子供達は願い事を叶えてもらうのだけれど、 どの結果も一筋縄ではいかなくて…


  この、「一筋縄ではいかな」さが逸脱してます。 「えっ、そうなっちゃうのか!」と、読んでいて楽しませてくれます。
でも一番驚いたのは、サミアッドの挿絵。 怖いよ!(笑)  とても妖精の一種とは思えません。日本だったら妖怪だったんだろうなあ。 (原題には「妖精」とは書かれていません。) この絵をデフォルメに成功した、アニメのキャラデザの人は偉い。
なんて週一のTVアニメにしやすそ〜な設定なんだろう、と思いながら読んでました。  アニメ観たい。
  エブリデイ・マジックの元祖。これだけの設定があるのだから、あとは発想次第でいくらでも 一話完結の話が作れて、話も続くはず…なのに、ちゃんと「終わり」があるのですね。
(正確には、きょうだいは5人です。)

  全3話の実写ドラマがやっていたので、嬉しく観ました。いいなあ、実写v  (続編の『火の鳥と魔法のじゅうたん』含む。) 実写はどうやら、ドラマ(全3話)と映画の2種類あるみたい…?

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05
クオレ ・・・ エドモンド=デ=アミーチス 1886
Cuore 〜Edmondo De Amicis
イタリア古典名作。

主人公である小学校4年生の少年の1年間の日記。
(1) 本人の学校あるいはその周辺で起きた出来事
(2) 担任の先生が毎月1回話してくれる物語
(3) 父母・姉からの本人に対する書簡
の記述から構成されている


  有名な『母をたずねて三千里』の話は(2)にあたり、 実はこの『クオレ』の作中挿話だったのです。 それの原題は「Dagli Appennini alle Ande」(アペニン山脈からアンデス山脈まで)
  この話に出てくる大人はみんな立派な人格者で、 子供が皆こういう大人に囲まれて育ったら、いい社会になるのに。 子供に携わる全ての人と小学生の必須読本にしたい。
  はるか昔に日本で翻訳されたときは、舞台をまるきり日本に変えて出したそうです。 「愛の学校 クオレ物語」という題でアニメにもなりました。
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06
ハリー・ポッター ・・・ J.K. ローリング 1996
第一作:賢者の石
注!毒入り感想!
他の人のハマりっぷりを見ていたので、慎重に読んでいきました。

良かった点
ほうきの種類が凝ってた。アスカみたいな子がいた。最後のどんでんがえしには、やられた。アルバムがよかった。……以上。

↓毒入り↓
えー……と。決して面白くないわけではないのですが。
  勧善懲悪を子供にワカリヤスくしたってのは判るんですがね。 魔法学校をあんなに凝らせられるなら、 悪役をもっと考えるべきだったのでは。
  ああいう風に、生徒を善悪=優劣で分けるって…。 それでいて、主人公は善=優のクラスにいて、 悪=劣クラスと対立して、仕返し報復の応酬で、 勝った暁には、ざまあみろとでも笑ってるんですよ? 世界最悪の悪敵が善=優のクラス出身だったってのも納得です。 ……主人公がそんなんじゃ、子供にかなり悪影響を与えると思うのですが。
(クラスを分けるのはいいですよ。 それで主人公が最初は下っ端のクラスだったけど、 少しずつ成長していって…上になった時、 下の事情も知っているから変革していくってのなら、まだしも。)
  人間世界での主人公の立場をあんなにしたってのも、 いろいろとワカリヤススギて判るんですが。 全体的な構成も、虐待されている子の現実逃避夢物語ってかんじで、 読んでいて、痛々しかったです。 アイタタタ。 (ドクロ)

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07
エヴァが目ざめるとき ・・・ ピーター=ディッキンソン 1990
"EVA" 〜Peter Dickinson

地球は野生動物がどんどんいなくなり、人間の数も減少していっている、そんな近未来。 13歳の少女エヴァが交通事故から目覚めると…


  すっごい衝撃的な内容です。
気の遠くなるような、人類再生への希望の話…。
題名やあらすじだけ見てSF・ミステリーちっくな印象を持って読んでいくと、肩透かしをくらいます。 かなり「現実めいた」話になっています。
本編にはほとんど関係ないけど、一番心に残った文がこれ→ 「ポケットに石をつめこんで、手をつないで歌いながら海に入っていくの。」
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08
ブループリント ・・・ シャルロッテ=ケルナー 2000
"Blaupause" 〜Charlotte Kerner
「あなたはわたし=わたしはあなた」
不治の病に冒されたピアニストのイーリス(IRIS)は、 自分の才能を永遠のものとするため、クローンの娘、スーリイ(SIRI)を産む。 母娘であり、双子であり、「ムツヴィ」であり、「ダブルユー」であり、化け物…
クローン暦ゼロ年に生まれた人間最初のクローン。
これはそのスーリイの手記、『ブループリント』。
  図書館で本の背表紙をばーと見ていたら、 「シャルロッテ・ケルナー」という作者名が眼に飛び込んできて。 『ふたりのロッテ』と同じ名前だー! …ということで借りてきました。

  もう、すぐそこまできているというのに、 人間のクローン…というと未だに、未来SFちっくなイメージがあります。 でもこの本は、技術がどーの、制度がどーの、という話は一切ありません。 スーリイの成長に伴う自我の芽生えと心情変化、イーリスとの関係のみに視点をおいた話で、 しかもその内容がほんとにありそうなくらい、現実味を帯びているのです。 イーリスの母親が、イーリスと幼いスーリイに言い放った言葉が 実際にその通りになってしまうところなんか、すごい内容で印象的です。 適度な長さで、読み応えがあるのでおすすめします。

  でも、私が一番ジーンときたのは、 スーリイと兄代わりのヤーネクの関係。(クローン関係なし。)
「(もしヤーネクと恋人になったら、)お兄ちゃんがいなくなる」と言うスーリイを抱きしめて ヤーネクは、「おまえにはぜったい恋しないよ」と誓うのです…。
(教会の屋根裏というシチュエーションつき。)

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09
木かげの家の小人たち ・・・ いぬいとみこ 1959
イギリスの小人を預かった森山家に課された役目は、 毎日一杯だけ、水色のコップに入れたミルクを小人に与えること。 しかし戦争が始まり、一杯のミルクを手に入れる事が困難になっていく…
続編『くらやみ谷の小人たち』(1972)
↓ネタばれ感想↓

  父親は思想犯の疑いで捕らえられ、 外国育ちの母親と優しい兄は、静かに、けれども強く戦争に反対していた。 国に教育された弟は「立派に」育ち、そんな家族を批判、兵隊学校を志願する。 ところが、兵隊になる前に終戦で生き残ったのは弟で、 終戦直前に兵隊になって死亡したのは、兄の方だった。

  一人だけ家族を離れて疎開した、末の妹の視点で話が書かれているので、 他の家族の出番はほとんどありません。それなのに、終戦後暫くたってから、 兄が兵隊になった事と、戦死したことを一度に知らされた時… ショックでした。

もう、ものすごく悲しかったです。

  しかも、「あんなに反対していたのに…」とかいったことも書かれず、 兄が戦死して、弟はどう変わったか、とかも書かれず、 ただ、兄、戦死、という書かれ方しかしていないんです。 …時間はかかるにせよ、弟もいつか、冒頭で私が書いたようなことを考えるようになると思うのですが…。 弟の懺悔が見たかった… 今まで読んだ戦争の話で、登場人物の戦死がこれほど悲しかったのは初めてかもしれません。

……哲兄さーん……(涙)

小人の話より、哲兄さんが悲しくて仕方がなかった。

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