ニルスのふしぎな旅

*作品紹介*
スウェーデン古典名作。

いたずら少年ニルス。ある日の留守番中、家に現れた妖精に悪さをして、小さな小人にされてしまいます。動物の言葉が判るようになったので家畜に助けを求めても、自分が日頃いじめていた仕返しをされるばかり。 その時、空の上をガンの群れが通りかかって、飼っていたがちょうのモルテンがついていってしまいます。大事ながちょうを逃がさないよう、とっさにモルテンにしがみついたニルスは、そのままガンの群れと共に、一年をかけてスウェーデンを一周することに。 旅の中で、ニルスは動物も人間も自然も助けることと愛することを知っていきます。

"Nils Holgerssons underbara resa genom Sverige"〜Selma Lagerlöf/1906〜07

*感想*
  スウェーデン教育会の依頼で、スウェーデンの子供達に自国の地理や歴史を 判り易く楽しみながら理解させることを目的として書かれた本です。 特に、ニルスが空の上から見下ろしたスウェーデンの地理について詳しく描かれ、 地方地方にあるその土地の成り立ち伝説(巨人もの多し。)を入れてあるのが特徴です。 話のところどころで反復会話が効果的に使われてるのも印象的です。
そして作者は1909年に女性として初めてノーベル文学賞を授与されます。

  小人の話、というとメルヘンチックな雰囲気が漂いますが、 『ニルス』はそういう話とは一風違うのです。 「人間」と「人間じゃないもの(小人=ニルス、動物)」との隔絶。 それを知ったニルスの焦燥と不安と畏怖、悲哀…
そして最後に明かされる、ニルスが人間に戻る本当の条件とは・・・!!

…両親と再会して人間に戻ったシーンが、しみじみと良かったです…

  ちょうど本を読んだ後くらいの時に、BSでアニメ再放送がありました。 最終二話しか観られませんでしたが、最終回でものすごい想いを味わいました。 「感動」という単語では表現しきれません。 ほんとに…もう… なんて なんて話を作ってくれたのよ… 原作者にしろアニメスタッフにしろ…
  この最終回のニルスに、初めて声優に感動しました。(ニルス役:小山茉美さん)  ああ… この人は、(脚本の人も、) ほんとにこの話を判ってくれたんだな… と思いました。 (どうやら、本当に泣きながら声を出していたそうです。)
〜冬の訪れさみしいけれど みんなと地球の上さ〜
  某所の感想から、最終回でのOPの歌詞の意味に気づかされ、 こういうことだったのね……… と思い返しては切なくなり。 (ちなみにEDは作りが面白くてとても好きです。)
  終わりに続く設定(話)のこことここがこう……!! と、熱く想いのたけをふりまいてしまいたいのですが、 これだけは、まだ「判っていない」人には絶対に知って欲しくないので。
「あの始まり」に続く「この終わり」があるからこその『ニルス』なんです……。


ニルスー………

TT

ちなみに日本での最初の題名→『飛行一寸法師』

(注:「偕成社文庫 全4巻 翻訳・香川 鉄蔵, 香川 節」でお読みください。(親子二代にわたる翻訳…!)   青い鳥文庫版の翻訳は良くないです。子供向けだからと、人物心情や状況を勝手に解説するのは、よけいなお世話。

*いいこと*
ニルス気分になれる映画紹介
WATARIDORI
  ただただ貴重な自然映像を観るだけの、ストーリーがほぼ皆無な内容なので、 館内からはいびきが聞こえてきたり、私も一瞬意識がなくなることが数回ありましたが。
でも、映像は本当に貴重なものでした。 こういうものを観ておくのもよいと思うので、薦めておきます。 「羽休み」という言葉の本当の意味を知る事が出来ます。
一年近いニルスの旅と同じ経験は、とうてい味わえるものではないけれど… 鳥の背に乗って空を渡り飛んだニルスの視界が垣間見れたことだけでも良かった…
(そういえば中学の合唱で渡り鳥の歌をやったけど、 その前にニルスを知っていれば、もっと違った思いで歌えたんだろうなあ…。

*LINK*
スタジオぴえろ アニメのニルス公式
ニルスの不思議な旅 アニメの全話あらすじ。
登場人物、登場紹介
Wonderful
Adventures
アニメの全話あらすじ、感想。
登場人物データ。
ぜろだま このページにアニメ紹介感想。
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