黒い兄弟

「今日、この時から、ぼくたちは兄弟のように力を合わせ、命つきるまで苦楽をともにする」

■作品紹介■
スイスの国立図書館で見つけた、古い報告記録の内容に衝撃を受けた著者が、 その事実を皆に知って欲しいとして書いた話。

19世紀。
南スイスの山村では、貧しさゆえに、 自分の子供達をイタリア・ミラノの煙突掃除夫に売っていたことがあった。 人買いの黒い男に買われた子供達は、湖を小船で動物のように運ばれ、 更にミラノの煙突掃除の親方に売られ、 ぼろ着のまま、食事も寝床もろくに与えられず、酷い待遇を受けながらも 「スパッツァカミーノ!(煙突掃除)」と叫びながら、通りをはだしで歩き回り、 小さい体の器用さで下から煙突にもぐりこんで屋根まで上り、 素手で煤をかき落とさなければならなかった。 劣悪な環境下で子供達の健康はむしばまれ、契約期間を耐えるにあまりにか細く、 再び故郷に戻れる者は少数だったという。

"Die schwarzen Bruder" 〜Lisa Tetzner/1941

■語り■
『ロミオの青い空』の原作…。
  アニメは観てないので調べたら、オリジナル設定が多々あったものの、 この人身売買の酷い待遇というのはそのままだったようで…  今、上の説明を書いていて、 よくこれを子供向けTVアニメにできたなぁ…と、新たな驚き。

  ものすごい酷い話なんですよ。(涙)  親方一家の主人公への仕打ちとか、心の腐りようとか、 アルフレドのあまりに薄幸で短い生涯とか… 彼は、妹との将来を思うと無念でならなかったと思うのですよ。  アニメ設定見たら、原作のアルフレドが可哀相で可哀相で泣けてきました。 (薄幸程度に大差ないんですが、それでもまだアニメの方が…。)  最後は一応ハッピーエンドなんですが…
(一刻も早く実家に無事を知らせる手紙でも送るべきだろう。 安寧に暮らしながら9年も音沙汰ないなんて、 家族の事を思うとそれはそれでひどいと思う。  そして、アニタ…。アニタ→ジョルジュの気持ちを思うと…かわいそうです…。 ロレンツォvビアンカなら丸く収まったのにー。)
  本の分厚さを全然感じないで、すらすらと読めました。 こんな境遇の中で、それでも生きて、そして死んでいった 多くの子供達の存在を広く知ってもらうために、この本をすすめます。

  ちなみに、原作の主人公の名前は、「ジョルジュ」です。 「ロミオ」ってのはどこから来たのやら。 「ジョルジュの青い空」でも別にいいのになぁ。  アニメを観る機会は今のところありませんが、観たらはまることは覚悟しているつもり。

■LINK■
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