ゲド戦記

群島世界アースシー。万物にあるのは真の名。
竜が話すのは太古の言葉。それを知るのは魔法使い。
山羊飼い少年ハイタカ。後に大賢人ゲドとなる。

〜作品紹介〜
この世にある全てには、「真の名」がある。 名前はとても大切なもので、真の名を知っていれば、それを自由に操れる。 成人して、名付け親から自分の真の名を教えられても、 誰も絶対信用できる人以外には、生涯自分の本名を明かさない。 だから通常は、「字」で呼び合う。

「ゲド戦記1 影との戦い」(A Wizard of Earthsea, 1968)
魔法使いとしての才覚を表し始めた若きゲド。 才に溺れ、闇の世界から影を呼び出してしまう。 名前のない影の、真の名を知ることが唯一の生きる術。
(自己の受容)

「ゲド戦記2 壊れた腕環」(The Tombs of Atuan, 1971)
名なき者達に仕える、闇に喰らはれし少女、大巫女アルハ。 腕輪を求め、侵入者として捕らえられた外界の者、ゲド。 自分の名を取り戻し、平和の腕輪を掲げ、世界へ踏み出す。
(他者の受容と自己再構築)

「ゲド戦記3 さいはての島へ」(The Farthest Shore, 1972)
魔法の衰弱による、世界の均衡の破壊。 死の恐怖と引き換えに、魔法と名前を奪っていくものは、 人の望み。人は願う。生きたい。さらに長く。永遠に。
(生と死の受容)

「ゲド戦記4 帰還」(Tehanu, 1990)
中年の未亡人になった、「元」腕輪の少女テナー。 魔法を使い果たした、「元」大賢人ゲド。 恐ろしい虐待を受けて、引き取られた少女、テルー。
(弱さの受容)

「ゲド戦記5 新たな風」(The Other Wind, 2001)

〜語り〜
  ゲド戦記は題名と違って、戦争の記録ではありません。 ゲドという大魔法使い(賢者)が生涯で成し遂げた 主な冒険の三つを書いた記録です。
  この世界での魔法のあり方が、甘くなくていいです。 魔法使いはなんでも出来るが故に、何にも出来ない、という。 魔法を使って冒険し、戦うファンタジーなのに、 ものすごく地味で孤独で深い戦いなのです。
  あと特筆すべきは、人種立場逆転の男女立場逆転。 主立っているのは黒人で、白人は世界の一部。 4は、フェミニズム文学とも言うべき内容。 しかも、(恐らく)ゲドの後にこの世界の主人公になるのは、 口にするのもはばかれるほどの虐待を受けた少女。 この子が一体どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。
(1巻でゲドを挑発するヒスイ、私は嫌じゃないです。)

  4のラストは、もっと推敲の必要があったけど、 作者がこの最終章を書いた気持ちが判らなくもない。 3のあと、16年間の構想があって、出版された最終章が、4。 4を書いたとき、作者はこれ以上書く事はないと思って、 最終章にしたそうですが、後にそれを撤回、5巻が出ました。 読者的には、3→4よりむしろ、4→5のほうが 書かれてしかるべきだったと思うのですが。

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